「勉強に集中してくれない」、「自分の好きなこと以外興味を示さない」など、アスペルガー症候群の子どもの勉強法に困っている方も少なくないでしょう。また、無理やり勉強させようとすると、余計にパニックになるなど対応が難しいのも事実です。
そこで、アスペルガー症候群の子どもに少しでも勉強に集中してもらうためのコツをご紹介します。
目次
1. 発達障害の子どもに集中して勉強に取り組ませる3つのポイント
発達障害の子どもに集中して勉強してもらうためには、どうしたら良いのでしょうか?
まずは3つのポイントをチェックしてみましょう。
1-1 子どもが勉強に集中しやすい環境をつくれていますか?
自分の興味があるものが近くにおいてあったり、人がいたりすることで集中ができないことがあります。
そのため、興味のあるものが視界に入らないように布で覆ったり、壁を見るように机の配置を変えたりしましょう。
また、刺激の少ない環境を作るため、パーテーションで区切るという対策もあります。
※勉強に集中できる環境づくりについては、下記記事もあわせてご覧ください。
1-2 適切な課題設定ができていますか?
課題の難易度が高すぎたり、量が多すぎたりすることで、集中力が続かないことがあります。
とりわけ好きではない勉強をするときは分量や難易度の調整が必要です。そのため、無理に同じ年齢の子どもが行う課題をするのではなく、学年の壁をなくして学ぶ「無学年学習」を意識しましょう。
また、課題の内容として、算数、国語という取り組みではなく、「図形」、「足し算」、「漢字」、「音読」というように、細かく分けて少しずつ理解を増やしていくことで、無理にたくさんの内容を理解するストレスを減らしましょう。
1-3 成功体験を増やす工夫ができていますか?
前の項目であげたように、課題の難易度や量によって失敗を繰り返してしまうと、「自分はできない子ども」というように自分を肯定する力である「自己肯定感」が低下してしまいます。その結果、より勉強に集中できないという悪循環を招きます。
そこで、勉強の結果ではなく努力を褒めたり、目標を細かく設定したりして、「できた」という成功体験を増やすことが有効です。
その結果、自分から進んで勉強がしたくなる「内的動機づけ」ができ、集中力も高まってくるでしょう。
2. アスペルガー症候群の子どもの特性を活かした勉強のコツ
上記で取り上げたポイントを網羅しても、アスペルガー症候群の子どもはその特性上、なかなか勉強に集中してくれないことがよくあります。そこで、アスペルガー症候群の子どもの特性を活かした勉強のコツを紹介します。
2-1 視覚的な支援を積極的に活用する
言葉で説明しても理解してくれない場合、視覚からの刺激が有効なことがよくあります。
そこで、以下のように視覚的な支援を積極的に活用するようにしましょう。
- 絵カードを使う
- 絵に書いて(4コマ漫画など)説明する
- 文章に分けて説明する(短くわかりやすいとベター)
- 図にかいて整理する(マインドマップなど)
これらの教材を準備できない場合は、オンライン教材の使用が効果的です。
最近のオンライン教材の中には、アニメーションを駆使して視覚的な支援をしながら勉強できる工夫がなされているものも多くありますので、ぜひ積極的に活用してみてください。
※教材選びについては、下記記事もあわせてご覧ください。
2-2 変化を少なくし、ルーティンを増やしてあげる
一定のルールや法則にこだわりをもつ一方で、変化に弱くルールから外れるとパニックを引き起こすこともあるのがアスペルガー症候群の特徴です。
その特性を生かして、勉強をルーティン化して繰り返すことができれば、非常に効果的です。
例えば、スケジュール表や手順表、チェックリストを活用して、毎日のスケジュールの中に勉強を組み入れます。
そうすることで、決まったタイミングで勉強をするようになります。
2-3 見通しを立てて安心感を与えよう
気が散ったり、嫌なことはすぐにやめようとしたりして集中してくれないときは、見通しを立てて安心感をもたせてあげましょう。
「あと10分したら好きなことしようね」、「このページが終わったら今日の勉強は終わり」など具体的な見通しを立てることで、継続して集中しやすくなります。
3. 忘れがち!アスペルガー症候群の子どもの感情を察してあげよう
最後は当たり前かもしれませんが、以外に見落としがちなポイントです。
アスペルガー症候群の子どもは自分の感情を伝えることが苦手なことが多く、「疲れた」、「休みたい」と言えない場合もあります。そのため、体調の変化や普段との違いなどをしっかり観察してあげるようにしましょう。
そして、学校から帰った直後はゆっくり休むようにスケジューリングしたり、親の支えという安心感を与えてあげたりといった工夫をしてあげることが大切です。
4. まとめ
アスペルガー症候群の子どもは他の発達障害と同様に、勉強をする上でどうしても、支障になってしまう特性や個性を持っている場合があります。しかし、工夫次第でその個性が勉強上の強みになる場合もあります。
無理に型にはめようとせず、いろいろな方法を試しながら、ゆっくりと子どものペースで勉強に取り組むようにしましょう。
※アスペルガー症候群の子どもの特徴については、下記記事もあわせてご覧ください。