下記のような症状があり、「ひょっとするとうちの子には障害があるのかも…」と思ったことがある方はいませんか?
- 「いつまでも文字を1文字ずつでしか読めない」
- 「似たような文字をいつまでも間違える」
このような、文字を読む能力の障害を「ディスレクシア(読字障害)」と言います。「ディスレクシア(読字障害)」は脳の機能障害が原因であるため、普通の学習を繰り返しても改善をすることがありません。
そのため、何も対策をせずに学校生活を送ると、文字の読みが苦手なことで、からかいやいじめの対象になり、精神的な不調や不登校といった2次障害を引き起こす可能性があります。
今回は「ディスレクシア(読字障害)」に対する支援として、オススメの教材を紹介するとともに、「ディスレクシア(読字障害)」とはどのような障害なのかを解説していきます。
目次
1. 「ディスレクシア(読字障害)」とは
「ディスレクシア(読字障害)」は学習障害(LD)と呼ばれる発達障害の1つです。
学習障害には「ディスレクシア(読字障害)」の他に、文字を書くことに困難さが生じる「ディスグラフィア(書字表出障害)」、算数の学習に困難さが生じる「ディスカリキュア(算数障害)」があります。子どもは発達する中で、両親など周囲の人から言葉を聞き、それを自ら声に出すことで文字を音として認識していきます。
しかし、「ディスレクシア(読字障害)」の場合は、文字と音をうまく結びつけるための脳の機能がうまく働かないために、文字を読むことが難しくなるのです(音韻処理困難)。
また、文字を読むことができなければ、その文字を書くことも難しくなります。
そのため、知能の低下により「文字の理解が難しい」、「文章の意味がわからない」というわけではありません。
1-1 「ディスレクシア(読字障害)」の症状例
「ディスレクシア(読字障害)」では、次のような症状がみられます。
<「ディスレクシア(読字障害)」の症状例>
- 1文字ずつしか読めない
- 文節や単語を途中で区切ってしまう(例「ありがとう」→「ありが/とう」
- 文字や行を飛ばして読んでしまう
- 文字の間が広いと読めても、狭くなると読めなくなる
- 形の似た字を読み間違える
- 文を勝手に変えてよむ
- 指で文をなぞりながらでなければ読めない
- 促音や拗音が読めない(きって、ちょうちょなど)
「ディスレクシア(読字障害)」は就学後に文字を書くことが多くなる時に、具体的な症状として気づかれることが多くあります。
しかし、幼児期でもひらがななどの文字に興味を示さない、日常的によくみる簡単な単語でも読めないなどの症状から「ディスレクシア(読字障害)」が疑われる場合もあります。
1-2 「ディスレクシア(読字障害)」の診断
「ディスレクシア(読字障害)」の診断は以下のような場所で受けることができます。
<診断を受けられる場所の例>
- 発達障害に関する専門家のいる病院やクリニック
- 発達障害者支援センター
- 児童相談所
- 保健センター
これらの場所で、専門家による問診・観察が受けられます。そして、子どもの詳しい症状を調べるために心理検査と呼ばれる検査をして、どのような部分で発達の遅れや偏りが見られるのかを検査します。
2. 「ディスレクシア(読字障害)」に必要な支援
「ディスレクシア(読字障害)」に必要な支援のコツを具体的に紹介します。
2-1 文字と音声を組み合わせる
「ディスレクシア(読字障害)」の学習を支援するには、音韻処理をする機能が低下しているという点をうまく補う必要があります。
そこで、文字をうまく音とつなげて読むために、文字とともに音声によるガイドをつけながら学習することが有効です。特に助詞の使い方、促音や拗音などの小さな文字の使い方などは理解しにくいため、映像で捉えながら音声で聞くことで、理解がしやすくなります。
2-2 行間の広さや文字の大きさ・量を工夫する
文字を文章の中でうまく捉えられず、行間の狭さや文字の量が問題となるときは、行間を広くしたり、1ページあたりの文字数を少なくしたりするなどの物理的な工夫も必要になります。
2-3 学年に縛られて無理に学習させない
学校教育では学年ごとに習う漢字や文章の量が決められています。
しかし、「ディスレクシア(読字障害)」の場合、学年に合わせて無理に学ぶことは大きなストレスになります。
専門家の助言のもとで、何が苦手なのかをしっかり把握して、少しずつ課題を改善していく取り組みが必要です。
3. 「ディスレクシア(読字障害)」の子どもにおすすめしたい教材のポイント
教科書やドリルといった教材は、文字を読み書きするといった部分が苦手な「ディスレクシア(読字障害)」の子どもにとって、非常にハードルが高い教材です。
無理にこのような教材で学習せず、音声やアニメーションが使用できるICT教材を活用することがおすすめです。文部科学省も発達障害の子どもの支援にICTを活用することを推奨しており、学校教育においても、拡大している学習方法です。
支援のコツでご紹介したような、音声によるガイドや学年に縛られない無学年学習を実践できるタブレット教材なども開発されており、発達障害の子どもの学習を無理なく進めることができます。
4. 「ディスレクシア(読字障害)」に関するまとめ
「ディスレクシア(読字障害)」の子どもは知能の遅れがなく、周りの子どもとの違いに気づかれにくいことも多くあります。
場合によっては、単に「本読みが下手な子ども」、「ノートが汚い」などといった評価を受けて、学校生活を送りづらい状況になります。
そのため、適切な診断を受けて、しっかりと支援していくことが重要です。子どもの頃から適切な学習教材を使用して、「ディスレクシア(読字障害)」の子どもの学習を支援していきましょう。