発達障害の子どもの特性としてよく挙げられるのが「ワーキングメモリが低い」ということです。
ワーキングメモリが低いと、日常生活にさまざまな困難が生じ、勉強にも影響が出ます。
そのため、学力アップのためには勉強法を工夫する必要があるのです。
発達障害の子どもの勉強法として注目されているパソコン・タブレット教材(eラーニング教材)は、ワーキングメモリの低い子どもにとってどうなのか、今回は「デキタス」という教材を実際に使った人の感想を交えて考えていきたいと思います。
目次
1. デキタスってどんな教材?教科書準拠でテスト対策にも〇
デキタスは、城南予備校や城南コベッツで知られる株式会社城南進学研究社が提供しているパソコン・タブレット教材です。プロ講師のノウハウが結集しており、ポイントを抑えたわかりやすい教材だといわれています。
1-1. デキタスの基本情報
- 対象学年:小学1年生~中学3年生
- 教科:<小学生>国語・算数・英語・生活(小学1年生〜2年生)・理科(小学3年生~)・社会(小学3年生~)、<中学生>国語・数学・理科・社会・英語
- 価格:月額3,000円〜4,000円(学年によって異なる)
- 学習端末:パソコン・タブレット
- 教科書対応:あり(小中学校の国語と、小学校の英語は共通の標準版となる)
- 保護者用画面:なし
1-2. デキタスの勉強の流れ
該当学年のすべての教科を受講する形になり、教科を選ぶことはできません。
過去の学年の勉強をしたい場合は、その学年の分も全教科受講する必要があり、料金もかかります。
入会すると該当学年のすべての授業・問題があらかじめ用意されています。このように、該当学年のすべての単元が一覧でメニュー表示され、勉強のたびに選ぶ形になっています。
授業動画を見たあと、5問程度の○×問題があり、授業の内容のポイントを振り返ることができます。
その後、基本問題とチャレンジ問題へと進んでいきます。
小学校の英語と小中学校の国語は標準版となりますが、その他の科目は教科書に準拠しています。
「テストモード」を選択すると、テスト範囲としたい分野を選べるようになり、定期テスト対策にも役立ちます。
2. ワーキングメモリの低い子どもがデキタスを使ってみた感想
デキタスを始めたのは、発達障害でADHDと診断された中学1年生のHくんとその保護者。
デキタスを使ってどうだったのか、保護者の方に聞きました。
ワーキングメモリとは…
情報を一時的に記憶しておく能力のことで、生活のあらゆる場面で必要なものです。
たとえば人と会話するときも、相手が話したことを一時的に記憶したうえで言葉を発することで、会話が成り立っています。
発達障害の子どもはこのワーキングメモリの容量が低い傾向にあり、授業の内容が頭に入ってこない、習ったことをすぐに忘れてしまう、ノートを取るのが遅くなってしまう、文章を読んでも理解できない、考えたことを書く前に忘れてしまうなど、さまざまな勉強の困難が起こります。
2-1. ワーキングメモリの低い子どもにデキタスが良かった点
●キャラクターが個性的
ワーキングメモリの低い子どもには、先生が一方的に、淡々と説明するような無味乾燥な授業は向いていません。
デキタスはアニメのキャラクターが先生となり、楽しい雰囲気の中で講義が進んでいきます。
その点では、印象に残りやすいといえるでしょう。
このように、個性的なキャラクターが登場するので楽しく学んでいくことができます。
「デキタスは、教科ごとに先生となるキャラクターが違い、それぞれ個性的な話し方でレクチャーしてくれるので楽しんで見ていました。生徒役のキャラクターがさまざまな質問をするので、自分自身を重ねているようです」
保護者のコメント
2-2. ワーキングメモリの低い子どもにデキタスが良くなかった点
●問題数が少ない
勉強したことを理解し、そして使いこなすためには、短期記憶を長期記憶化させる必要があります。
そのためには、繰り返し学習することが大切です。
とくにワーキングメモリの低い子どもは、何度も何度も、根気よく学ぶことで、少しずつ長期記憶していきます。
デキタスは、講義の動画の後に○×のチェック問題が5問、いくつか動画を見た後に基本問題が10問ほど出てきます。
基本問題で満点を取るとチャレンジ問題がありますが、これだけではきちんと知識が定着するまで学べるとはいえません。
「動画の後の○×問題は、理解していなくても確率的に半分は当たるので、子どもがきちんと理解しているとはいえないと感じました。また、問題の出題形式もバリエーションがないため、答えを暗記してしまうと応用力がつきません」
保護者のコメント
●解説がすぐに見られない
デキタスのドリルは、5問または10問と問題を解いた後に、解説を見ることができます。
ワーキングメモリの低い子どもは、不正解だった問題の解説を見るまでに時間が空いてしまうことで、どのように考えたのかを忘れてしまう可能性があります。
「不正解でも、まずはすべての問題を解かなければならないので、子どもが慌ててしまっているように思いました。最後に正誤の一覧と、解説を見るボタンがあるのですが、どのような問題だったかも忘れてしまっているようです。一問間違えたら、その場で解説を見られるようになっているといいなと思いました」
保護者のコメント
3. デキタスはワーキングメモリの低い子どもには適していない点も
このように、「デキタス」はアニメーションで楽しく勉強できる反面、ワーキングメモリの低い子どもには適していない点もあるようです。
たとえば、問題数の少なさを他の教材で補ったり、保護者が横について解説したりすれば、効果的に勉強できるかもしれません。
ワーキングメモリが低い子どもに効果的な勉強方法やおすすめ教材については、下記記事でまとめておりますので、合わせてご覧ください。