「評判の良い教材を使っているはずなのに、なかなか成績が上がらない」、「勉強が遅れているのでどんな教材を使えばいいかわからない」など、発達障害の子どもの教材について悩む保護者も多いようです。
発達障害の子どもは、その特性により、得意分野と不得意分野の差が大きいことが多く、そのため教材が合っていないと学習の成果が得られにくいのです。
今回は、発達障害の子どもの特性ごとに、おすすめの教材をご紹介します。
目次
1. 発達障害の子どもに合わない教材は逆効果?勉強嫌いの恐れも
たとえば、LD(学習障害)で文字を書くことが苦手な子どもに、反復学習が大切だからと一日何時間も文字を書かせるような教材で勉強させてしまうケース。
そんなことを繰り返すと、子どもは文字を書くことがさらに嫌いになってしまい、勉強そのものに拒絶反応を示すようになってしまうかもしれません。子どもは、たとえ苦手なことがあっても、さまざまな知的好奇心や、得意なことを持っているものです。
できないことに固執しすぎて勉強嫌いにさせてしまうのはもったいないことといえます。
できることや、子どもが関心を持っていることを伸ばしてあげる方法を見つけましょう。
苦手なことをサポートできる教材選びが必要です。
2. 発達障害の子どもの教材を選ぶときのポイントは?"特性"と"興味"
教材を選ぶ際に大切なのは、子どもに合った教材を選ぶこと。
“合った教材”とはどんなものなのか、以下の2つのポイントをチェックしてみてください。
(1)発達障害の子どもの特性に合った教材
文字を書くことが苦手なら書かなくても勉強できる教材、ワーキングメモリが低いなら繰り返し学習できる教材やヒントが見やすい教材……というように、子どもの抱えている困難によって適した教材は変わってきます。
まずは子どもの特性をきちんと理解し、苦手なことと得意なことを把握するのが大前提です。
そのうえで、苦手をサポートできるものや、得意を生かしていける教材を見つけましょう。
(2)発達障害の子どもが興味を持つ教材
興味を持てるか持てないかで、子どもの集中力は大きく変わります。
また、学習効果もそれに伴って何倍も違ってくるでしょう。
たとえば、好きなゲームやアニメに夢中になる子どもの姿を思い浮かべてみてください。
そんな風に、勉強にも夢中になることができれば、きっと成績もアップするはずです。
教材を選ぶ際は、子ども自身が興味を持てるものにしましょう。
保護者が一方的に決めるのではなく、子どもの反応を見ながら、一緒に教材を選ぶことをおすすめします。
特性や興味に合った教材を選んであげることができれば、しっかり成績が上がっている事例もでています。
3. 発達障害の子どもにおすすめの教材は?特性別にご紹介
ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害)、LD(学習障害)の3つの分類に分け、それぞれに見られる特性に合わせたおすすめの教材をご紹介します。
なお、紹介している教材は随時更新していきます。
3-1 ASD(自閉スペクトラム症)の子どもにおすすめの教材
●人との関わりが苦手で集団授業・グループワークについていけない
周囲に人がいる状態で勉強することが難しい子どもの場合、一人で落ち着いて勉強できる環境をつくってあげることが大切です。
集団塾ではなく個別指導塾や家庭教師が向いていますが、先生との関係性を築くことも困難な場合、パソコンやタブレットを使って勉強できるeラーニング教材がおすすめです。
eラーニング教材にもいろいろな種類がありますが、解説が簡潔すぎるものも多いので、理解度がゼロの状態でもしっかり理解を積み重ねていけるものが良いでしょう。
おすすめ教材
すらら
アニメーションの先生が、丁寧に解説してくれるレクチャーが特徴のeラーニング教材。
概念理解からじっくり解説するので、まったくわからない、知識ゼロの状態からでも理解を深めていくことができます。
無学年方式で学年の枠を越えて勉強できるので、不得意科目は過去の学年に遡り、得意科目は現在の学年の勉強を進めるなど、1人ひとりのペースに合わせて学ぶことができます。
3-2 ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもにおすすめの教材
●集中力がなく、すぐに気が散って別のことを始めてしまう
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもは集中力がなく、人の話をじっと聞いていることが苦手な傾向があります。
そのような子どもの場合、先生の話を一方的に聞く勉強法や、単調な問題を繰り返す教材は向いていません。
スピード感を持って取り組める、ゲームのような教材がおすすめです。
おすすめ教材
カード形式やゲーム形式の教材
じっと問題集やドリルと向き合うことが難しいため、パパッとスピーディーにめくりながら学習できるカード式教材や、遊びながら学べる教材が向いています。
さまざまな種類が出ているので、子どもに合わせて選んでみてください。
- 絵合わせで反対言葉を学べる『反対ことばカード』銀鳥産業http://amzn.asia/8HiarQd
- 算数をテーマにした対戦ゲームが12種類入った『みんなで遊ぼう! 算数ゲームブック』学研プラスhttp://amzn.asia/6S5S3j0
などの評価が高いようです。
また、子どもの学習進度や興味に合わせてカードを手作りするのも良いでしょう。
すらら
ADHD(注意欠陥多動性障害)の子どもには、アニメーションや動画で学ぶeラーニング教材が向いています。
ただ、一方的に話を聞くだけの講義では、集中力がすぐに途切れてしまうでしょう。
頻繁に質問が投げかけられ、それに答えながら講義が進んで行く参加型の教材がおすすめです。
すららは、先生役のキャラクターが頻繁に話しかけ、質問に答えていくインタラクティブな講義が特徴です。
3-3 LD(学習障害)の子どもにおすすめの教材
●文字を書くことが苦手
LD(学習障害)の子どもには、文字を書くことが苦手な子どもが多くいます。
その場合、書かなくても良い勉強法を見つけることで、知識を深めていくことができます。
おすすめ教材
eラーニング教材
パソコンやタブレットを使ったeラーニング教材には、選択式やタッチ入力式で解答するものも多く、書くことが苦手な子どもに適しています。
ただ、タッチペンを使って専用タブレットの画面上に書かなければいけない教材もあり、そこに苦手意識を持ってしまう場合もあります。
書かなくてもどんどん勉強を進められる教材を選びましょう。
●文字を読むこと・話しを聴くことが苦手
LD(学習障害)の中には、文字を読むことに困難がある子どもや、話を聴くことに困難がある子どももいます。その場合、音声と字幕が同時に出るようなeラーニング教材がおすすめです。
おすすめ教材
すらら
チャレンジタッチ
eラーニング教材の中には、音声での解説がなく、子どもが自分で読まなければ理解できないものもあります。
そういったものでなく、すべて聞き取りやすい音声で解説がされ、さらにはそれを字幕で補っていくような教材が適しているでしょう。
すららやチャレンジタッチは、プロの声優による音声と字幕が同時に出るのでおすすめです。
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●漢字が苦手
書くことが苦手で、特に漢字に対して強い苦手意識を持っている子どももいます。
漢字の勉強というと、漢字ドリルなどひたすら繰り返して書くような勉強が一般的ですが、このような子どもには、それは苦痛になってしまいます。
カード式の教材や、漢字の成り立ちについての本など、別の方向から漢字を覚えられるような教材が理想です。
おすすめ教材
- 漢字の意味と形を結び付けやすい『意味からおぼえる漢字イラストカード 1年生』かもがわ出版http://amzn.asia/4Rwvuzd
- 漢字に秘められた意味を興味深く学べる『白川静文字学に学ぶ 漢字なりたちブック 1年生』太郎次郎社エディタスhttp://amzn.asia/gP26RiR
などの評価が高いようです。
●算数が苦手
数字や記号の理解ができなかったり、繰り上がり・繰り下がりの概念がわからなかったり、文章題が苦手だったりと、算数の困難がある子どももいます。
「2+3=5」となるのはなぜなのか、概念理解するところからしっかり学べる教材がおすすめです。
おすすめ教材
無学年式の教材
算数はその他の教科と異なり、知識を積み上げていく教科です。
それまでの内容が身に着いていなければ、その先を理解することはできません。
そのため、学年の枠を越えて勉強できる無学年式の教材が向いています。
「計算」、「図形」、「距離と道のり」など、子どもが苦手な分野をじっくりと学べるものを選びましょう。
無学年方式が特徴のすららは、知識がゼロの段階からでもじっくりと学べる構成になっています。
概念理解に重点を置いているので、子どもが置いてけぼりになりません。
このように、子どもの特性によって適した教材は違ってきます。
教材選びは、子どもの勉強意欲を左右するとても大切な工程です。
ぜひ、しっかりと吟味して選んでみてください。
おすすめの教材が見つかり次第、随時更新していきます。
また、上記でご紹介した教材で実際に勉強した方の感想は下記よりご覧いただけます。