「成績がなかなか上がらない」、「机に向かってもすぐに飽きてしまう」、「記憶力が弱く、習ってもその場で忘れてしまう」、「とにかく勉強が嫌い」など、発達障害の子どもを持つ保護者は、勉強に対する悩みを抱えている人が多いようです。確かに発達障害の子どもは、勉強にさまざまな困難を抱えています。しかし、きちんと対策すれば成績を上げることもできます。今回は、発達障害でもパソコン・タブレットを使ったeラーニング教材で勉強ができるようになった4つの事例と、そこからわかる成績アップの秘訣をご紹介します。
目次
1. 学習習慣が身につき、2桁の計算もできるようになった
S.Fくん(小学3年生)の事例
【診断名】
自閉スペクトラム症(ASD)
【勉強法を変える前】
・「りんご」、「みかん」、「果物」の違いなど、上位概念と下位概念が理解できなかった
・予想外の出来事が起こるとパニックを起こすため、さまざまな授業や抜き打ちテストがある塾には対応できなかった
・四則演算ができなかった
【実践した勉強法】
・イラストがたくさん使われた教材で物の概念を学ぶ
→上位概念と下位概念が理解できるようになった!
・「講義を受けた後にドリルを解く」という決まったサイクルを毎日繰り返す
→学習が構造化されることで安心して勉強できるようになった!
・アニメーションで学ぶeラーニングの教材で足し算・引き算の概念を学ぶ
→数の概念、計算の概念を理解することができ、2桁の四則演算もできるように!
【保護者のコメント】
WISC検査を受けた際、絵や写真などの視覚情報で学ぶと良いと言われていたため、アニメで学ぶことができるeラーニング教材を申し込みました。現在では、毎日自主的に勉強に取り組んでいます。
1-1. 毎日同じリズムで勉強することで習慣化
S.Fくんの成功の秘訣は、毎日同じリズムで勉強する方法を見つけたことです。自閉スペクトラム症は、「予想外の出来事が起こるとパニックを起こしてしまう」という症状が出ることがあります。そのため、多くの生徒がいてさまざまな会話が展開されたり、抜き打ちテストがあったりする集団塾には不向きでした。マイペースで勉強でき、毎日同じリズムで「講義→ドリル」という学習を繰り返す教材に出会えたことが良かったようですね。WISC検査のアドバイスに基づき、視覚優位な特性を生かすことができるeラーニング教材を選んだのも理由でしょう。
2. 多動の症状が強かった子が、机に向かえるようになった
T.Nくん(小学6年生)の事例
【診断名】
注意欠陥多動性障害(ADHD)
【勉強法を変える前】
・多動の衝動が強く、落ち着いて机に向かうことができなかった
・処理速度が弱く、学校のテストでは時間内に終わらないことが多かった
・ワーキングメモリが弱く、習ったことをすぐに忘れてしまっていた
【実践した勉強法】
・アニメやゲームを取り入れたeラーニング教材を使った
→紙の問題集より楽しく勉強でき、自然と勉強するようになった!
・音声の刺激を適度に取り入れたeラーニング教材を使った
→キャラクターが質問を投げかけてきたり、正解時に「ピンポーン」と音が鳴ることで受け身にならず、多動の症状を抑えることができた!
・得意教科から、本人のペースで何度も反復学習をした
→繰り返すうちにケアレスミスも減っていき、テストで100点を取れるようになった!
【保護者のコメント】
算数のテストでは10点台ということも珍しくなかったのですが、最近ではよく100点を取るようになりました。本人もわかることがうれしいらしく、自分から進んで勉強するようになりました。ちゃんと勉強したときは、「すごいね!」と褒めるようにしています。
2-1. 受け身にならない授業で多動の症状を抑える
注意欠陥多動性障害の子どもは、すぐに気が散ってしまい、じっとしていられないという特徴があります。特に、一方的に話を聞くだけの授業や、無味乾燥な問題をひたすら解くというような勉強ではその症状が顕著になります。T.Nくんもその症状が強く出ていましたが、アニメやゲームを用いたり、頻繁に質問を投げかけられたりするeラーニング教材を使うことで、受け身にならず勉強に集中できるようになりました。
3. 得意不得意の差が埋まり、学年相応の学力がついた
K.Aくん(中学3年生)の事例
【診断名】
自閉スペクトラム症(ASD)
【勉強法を変える前】
・たまに勉強するものの学習量にムラがあった
・国語の読解問題が特に苦手で、勉強しようとしなかった
・英語・数学もテストでは30点台が続いていた
・数学では暗算で計算するクセがあり途中式が書けなかった
【実践した勉強法】
・勉強すると“ご褒美スタンプ”がもらえるeラーニング教材を使った
→スタンプを集めるために勉強し、毎月20時間以上学習する習慣が身についた
・過去の学年にさかのぼって学び直した
→知識を積み上げていくことで確実に実力がついていった
・数学では途中式をノートに書く習慣をつけた
→正解率がグンと上がり、途中式が必要なテストでも点を取れるようになった
【保護者のコメント】
これまで勉強時間にムラがありましたが、“ご褒美スタンプ”を集めるため、毎日1時間以上勉強するようになりました。毎日楽しく勉強することで、英語、数学は基礎学力が飛躍的に向上。中学校の勉強をすべてクリアするまでになりました。苦手だった国語も、読解力が大きく伸びたのを感じています。
3-1. “ご褒美”で勉強のモチベーションアップ
勉強に対して苦手意識を持っている子どもは、「勉強しても無駄だ」と思っているケースが多くあります。発達障害の場合、その障害により、思うような結果が出にくいのは事実。何度も勉強の挫折を経験し、勉強へのマイナスイメージが固まってしまっているのでしょう。K.Aくんの勉強時間が劇的に増えたのは「勉強するといいことがある」というプラスのイメージを持たせることに成功したから。発達障害の子どもには収集癖がある場合も多く、その特性が“ご褒美スタンプ”とマッチしたのでしょう。また、現在の学年の勉強から遅れている子どもの場合は、学年の枠を越えた無学年方式で、「さかのぼり学習」ができる教材がおすすめです。
4. 不登校でも勉強の楽しさを実感することができた
M.Kさん(中学2年生)の事例
【診断名】
注意欠陥多動性障害(ADHD)
【勉強法を変える前】
・中学1年生から不登校となり、適応教室にも通えず学習の機会がなかった
・飽きやすく、ハマりやすい特性があり学習態度にムラがあった
・数学が苦手で、最高得点が28点だった
【実践した学習法】
・自宅をほとんど出られないため、eラーニング教材を使った
→家庭にいながら勉強でき、勉強の楽しさを実感できた!
・クリアした分量に応じて“ご褒美”を導入した
→目標ができたことで勉強にハマった!
・過去の学年にさかのぼって学び直した
→家庭学習で自信をつけ、苦手な数学で86点が取れた!
【保護者のコメント】
塾や家庭教師を試してみましたがどちらも合わず、ダメもとでeラーニング教材を使ってみました。すると、ゲーム感覚の勉強が気に入ったらしく、また“ご褒美”を目標に進んで勉強するようになりました。自ら学校の試験を受けるといい、数学の期末テストで86点を獲得。さらに成績を上げたいと、適応教室への通学を再開しました。
4-1. 勉強への自信がさらなるやる気を引き出す
不登校で勉強する機会のなかったM.Kさんが、勉強に前向きになれたのは、“ご褒美”が勉強する目標になったこと。そこに、興味のあることにはハマりやすい特性が合致したのでしょう。また、勉強する習慣が身につくと、勉強してテストでいい点数を取ること自体を楽しいと感じられるようになります。アニメやゲームを用いたeラーニング教材、学年の枠を越えた無学年方式で、「さかのぼり学習」ができる教材を選んだことも成功の秘訣でしょう。
今回紹介した4名は、いずれもパソコンやタブレットを使って勉強するeラーニング教材を使って勉強することで、成績を上げることができました。学校や塾の授業についていけない、紙の問題集に苦手意識を持っている、落ち着いて机に座っていられないという場合は、試してみることをおすすめします。