「学校の宿題で出される漢字の書き取りを嫌がる」、「漢字テストはいつも点数が良くない」、「漢字が読めず、音読をしても頻繁につっかえてしまう」など、どうすれば子どもが苦手な漢字を克服できるのか悩む保護者も多いことでしょう。
文部科学省の学習指導要領によると、小学校の間に習う漢字は1006字にのぼります。
漢字は、国語の成績だけでなく、その他の教科の教科書やテスト問題を読んだり、本を読んだりするのに必須のもの。
大人になっても付き合っていくものなので、早めに苦手を克服させてあげたいですよね。
今回は、「漢字が大の苦手」という子どもに適した勉強法を考えてみたいと思います。
目次
1. いくら“反復学習”をしても漢字を覚えられない?原因はワーキングメモリ
漢字を覚えられる子と覚えられない子の違いは何なのでしょうか。
覚えられない子は、勉強法を工夫する必要があります。
1-1. 学年が上がると覚える漢字はどんどん多くなる
小学生の間に習う漢字は1006字。学年別に見ると以下のような数になります。
- 小1 80字
- 小2 160字
- 小3 200字
- 小4 200字
- 小5 185字
- 小6 181字
(文部科学省 学習指導要領より)
小1では80字ですが、小2では倍の160字。
小3小4でそれぞれ200字ずつと数が大きく増えます。
もしも、習った漢字を覚えきれないまま学年が上がったら、覚えなければならない数が増えて追いつくのが難しくなってしまうでしょう。
早めに漢字対策しないと、他の子どもとの差もどんどん広がってしまうのです。
1-2. 反復学習で効果がある子とない子の違い
現在、漢字の勉強法として広く行われているのが、何度も繰り返し書いて覚えさせる“反復学習”でしょう。
漢字の宿題が出たときも「漢字ドリルを〇ページやりましょう」とか「漢字ノートに10回書きましょう」というようなものが多いのではないでしょうか。確かに、何かを覚える過程において、反復学習は基本です。
一度学んだことを少し時間を空けて繰り返し学ぶことで記憶が定着していきます。
しかし、反復学習だけでは思うように覚えられない子どももいるのです。
それは、ワーキングメモリの低い子どもです。
ワーキングメモリとは、記憶や情報を一時的に心の中に保持して処理する能力のことを言います。
ワーキングメモリが低いと、少し前に学んだことをすぐに忘れてしまいます。
そのため、何度繰り返して書いても漢字をなかなか覚えることができないのです。
苦手意識のある漢字の書き取りだとなおさらでしょう。
興味も薄く、楽しいと思えない漢字の勉強は、より記憶に残りにくいと言えます。
漢字が嫌いな子に「20回ずつ書きなさい!」などと強要するのは効果的でないことがわかりますね。
2. 漢字が苦手で覚えられない時の勉強法は?「同時処理」と「継次処理」による工夫が必要
ワーキングメモリの低い子どもは学び方を工夫する必要があります。
「同時処理」と「継次処理」についてご説明します。
2-1. 「同時処理」と「継次処理」の違い
反復学習では漢字を覚えられない子どもは、「同時処理」と「継次処理」のどちらが優位かによって学習法を変えてみましょう。
「同時処理」と「継次処理」とは、情報を処理するときの過程を表します。
それぞれの特徴は以下の通りです。
「同時処理」
●物事を全体として捉える
●全体を捉えてから部分を理解していく
●空間的に捉える
「継次処理」
●情報を段階的・部分的に捉える
●部分から全体へと理解していく
●聴覚的・言語的に捉える
例えば、駅から目的地までの道筋を把握するのに、
同時処理が優位な場合は、まずは地図を開いて、今いる場所と目的地を把握し、そこから道を探していきます。
継次処理が優位な場合は、「ここを南西にでて20メートル進んでいただいて信号を右に曲がって、さらに18メートル進んだら左折してください」などと順序だてて説明されると理解できます。
本来は、同時処理と継次処理はバランスよく備わっているものです。
例えば教科書を読むとしても、「読む」という継次処理と、漢字を見て把握する同時処理を両方使いながら理解していきます。
しかし、子どもの特性によってはそのバランスがとれていないことがあり、漢字やその他の勉強に影響を及ぼすことがあります。
では、優位な能力を使った漢字の勉強法をご紹介します。
2-2. 「同時処理」が優位な子どもの漢字の勉強法
●漢字の間違い探しゲーム
漢字の全体が書かれたカードをまず提示し、その特徴を目で捉えさせます。
そのうえで、例えば線が1本足りなかったり、多かったり、つくりが似ているけれど違う字のカードを見せ、どこが違うかを答えさせましょう。
ゲーム感覚で間違い探しをすることで、細部まで見る力を養います。
●身近なものに漢字を貼る
家の中にある物や持ち物に、その名前を漢字で書いたカードを貼っておきます。
たとえば冷蔵庫に「冷蔵庫」というカードを貼っておき、度々目にするようにします。
すると、その意味と漢字の結びつきができ、漢字が入ってきやすくなるのです。
2-3. 「継次処理」が優位な子どもの漢字の勉強法
●書き順を要素ごとに分けて覚える
例えば「湖」という字なら、“さんずいに 古いに 月”というように、書き順に従って、漢字の要素ごとに分けて示し、それを唱えさせます。
唱えながらなぞり書きをし、慣れたら実際に書かせることで、聴覚的な手がかりによって漢字を覚えやすくします。
このように、どちらが優位なのかによって漢字の勉強法は違ってきます。
どちらかわからない場合は、両方試してみて、しっくりくるほうを選択すると良いでしょう。
また、しっかり検査をして見極めたい場合は「同時処理」、「継次処理」の認知処理過程に分けて知的能力を評価するKABCという知能検査を受けてみるのも1つの方法です。
検査は、総合病院や大学病院の小児科や児童精神科、臨床心理士のいる民間病院などで受けられますので問い合わせてみましょう。
3. 得意な認知処理様式を見極める!保護者全員が満足したK-ABCⅡ検査とは?
民間で実施しているKABC検査サービスもあります。
学習教材「すらら」が2019年3月から開始したK-ABCⅡ検査サービスは、受講した保護者全員が満足した検査のようです。
ご興味ある方は下記サイトをのぞいてみてください。
■「すらら」のK-ABCⅡ検査サービス
https://surala.jp/assessment/kabc2/lp/