子どもが発達障害であるかどうかを判断するために、どのような検査が必要なのか気になる方も多いのではないでしょうか。
発達障害は「障害」という言葉がつきますが、最近では「発達の偏りである」という考えが広がっています。
どんな子どもでも性格に差があったり、得意・不得意があったりするのと同様、「成長に凹凸があるだけ」とする考え方です。
心理検査では、そんな成長の凹凸を専門家による検査で具体的に明らかにすることができます。
子どもそれぞれの発達が遅れている部分はもちろん、秀でている部分も理解できる検査です。
そのため、発達障害の診断だけでなく、その後の支援にも欠かせない検査になります。
今回は、心理検査の特徴や種類、目的などを詳しく紹介します。
目次
1. 心理検査の種類と特徴は?発達検査、知能検査、性格・人格検査について
心理検査には、発達の程度を調べる「発達検査」や知能を調べる「知能検査」、性格の特徴を把握する「性格・人格検査」があります。
以下に具体的な検査の種類をあげます。
1-1 発達検査
- 新版K式発達検査
- 遠城寺式乳幼児分析発達検査法
- 津守式乳幼児精神発達診断法
- 日本版Bayley-3 乳幼児発達検査
- KIDS乳幼児発達スケール
- 日本版デンバー式発達スクリーニング検査
1-2 知能検査
- ウェクスラー式知能検査
- 田中ビネー式知能検査
- K-ABC知能検査
※知能検査について、詳細は下記記事をご覧ください。
1-3 性格・人格検査
- バウムテスト
- YG性格検査
- ロールシャッハテスト
以上のようなたくさんの検査が開発されています。
これらの検査は医師や臨床心理士といった心理に関する専門家のもとで行われます。
心理検査の特徴は、いくつもの細かいチェック項目と子どもの行動や言動、姿勢などを照らし合わせて検査することです。
それぞれの検査は多くの研究や検証を積み重ねたデータをもとに出来上がっています。
そのため、それらのデータと検査でチェックした項目を照らし合わせることで、子どもの細かい特徴を把握することができるのです。
2. 心理検査の目的は?発達障害の診断など個別の支援のため
心理検査の目的を一言で表すとすると、
”子どもの障害の程度を把握し、1人ひとりに合った支援を行うため”です。発達障害の中には、自閉症スペクトラム、注意欠陥多動症(ADHD)、学習障害(LD)などさまざまな障害があります。
しかし、以前のようにアスペルガー症候群や高機能自閉症といった細かい分類をすることは少なくなっています。
というのも、発達障害では、障害の種類が明確に分けられず、発達の凹凸は子どもそれぞれで異なり、それに伴って障害の特徴も細かく違っているという考え方が一般的になっているからです。
そのため、心理検査は非常に重要な役割を果たします。
発達の度合いや知能の程度、性格的な特徴まで細かく検査をすることで、発達障害の子どもの特性をしっかりと把握することができます。
同じ自閉症スペクトラムといった診断だとしても、検査の結果により見られる凹凸は一人一人違います。
その結果をもとに、どの能力を活かしていくか、どのような支援が必要かを、子どもの特徴に合わせて考えることができます。
3. 心理検査はどこで受けられる?公的な機関や病院、教育機関など
検査は公的な機関や病院、教育機関などさまざまな場所で活用されます。
発達障害の診断では、以下のような施設で心理検査を受けることになります。
- 専門家のいる病院やクリニック
- 発達障害者支援センター
- 児童相談所
- 保健センター など
また、診断以外でも発達障害の子どもの特徴や性格を細かく知って支援や教育の方針を明確にするために活用されます。
そのため学校や放課後等デイサービスなどでも使用されることがあります。
4. 心理検査の流れは?問診・検査・分析について
心理検査は次のような流れで実施されます。
4-1 行動の観察・問診
実際の検査を実施する前に、子どものおおまかな特徴、生育歴や生活環境を把握します。
また、本人や両親の困り感、関係性など周囲の環境面についても把握しながら、適切な心理検査の選択をします。
心理検査後の診断や支援に関する助言についての情報を収集します。
4-2 心理検査の実施
実際の心理検査を実施します。
心理検査は1種類のみを実施するのではなく、複数の発達、知能、性格検査を組み合わせて行うことがほとんどです。
そのため、問診や行動観察などから必要とされた検査をいくつか実施します。
具体的な検査の方法として、発達障害の診断で良く実施される検査を2つ紹介します。
●新版K式発達検査
- 【概要】発達の度合いを調べる検査。姿勢や運動、認知や適応、言語・社会といった項目に関して、遊びを通して観察して検査する。
- 【対象】0歳から成人まで
- 【形式】1対1
- 【所要時間】15~60分(年齢によって様々。0歳児であれば15分程度でも、10歳以上では60分必要。)
●WISC
- 【概要】児童向けのウェクスラー式知能検査。IQといった総合的な知能の度合い以外に、ことばに関する理解や知識の程度やワーキングメモリー、知覚したものを処理する速さなどを個別に把握できる。
- 【対象】5歳~16歳
- 【形式】1対1
- 【所要時間】60分~90分
ご紹介した検査は個別で行いますが、集団で行う検査もあります。
※知能検査でよく使われるのはWISCですが、勉強法を考える上では他の知能検査がおすすめです。
詳細は下記記事をご覧ください。
4-3 心理検査の分析
心理検査の結果を専門家が分析します。
客観的に得られた子どもの凹凸の部分を把握して、これからの支援や対応方法についての相談・援助につなげます。
5. 心理検査は不得意だけではなく得意な部分を知るにも最適!早期受診がポイント
発達障害では、どうしても「障害」の部分だけが注目されがちです。
つまり凹凸で言えば、凹んでいる部分だけが際立ってしまいます。
しかし、発達障害の子どもも凸の部分、つまり秀でている部分もたくさんあります。
心理検査は子どもの凹凸を客観的に細かく分析することができます。
発達障害の診断はもちろんですが、良い部分をどう活かすかを知ることができます。
心理検査を受けることで、今まで気づかなかった子どもの支援方法が見つかることが多くあります。
発達障害が気になる場合、子どもの良い部分の活かし方を把握したい場合、ぜひ心理検査のできる機関に相談してみましょう。
もっと気軽に子どもの得意なことを知って親子の関係性を改善したい場合は、
下記記事も参考にしてみてください。