発達障害の子どもの中には、悪いことをしたときに自分から謝ることできない子がいます。
それは障害の特性によるもので、謝ることの重要性やどの程度謝ればよいかといったことを理解できていないためです。
ですが、謝罪をするということは、これから社会で生きていく中で必ず必要となってくるものです。
今回は、謝ることの必要性を理解させる方法を考えてみましょう。
目次
1. 発達障害の子どもが謝れない理由は?
発達障害の中でも、上手く謝ることができない傾向が多く見られるのは自閉スペクトラム症の子どもです。
自閉スペクトラム症の特性としては主に以下のようなものが挙げられます。
- コミュニケーションが苦手
- 他人と目を合わせられない
- 人の気持ちを理解できない
- その場の状況に合わせることが苦手
- 皮肉やたとえ話が理解できない
- 柔軟な考え方をすることが苦手
- 決まった順序や道順、食べ物などのこだわりが強い
これらの共通点は、コミュニケーションが苦手で人の気持ちを理解できないことです。
相手がどう思ったか、どんな状態なのかということに関心を持てないのです。
そのため、自分が悪いとしてもなぜ謝らなければならないのかを理解できないのです。
●謝罪が必要なときはどんなとき?
自閉スペクトラム症の子どもに謝ることの大切さを教える前に、まずは大人である私たちが普段どんなときに謝罪しているのかを考えてみましょう。
例えば以下のようなケースが考えられますね。
- 相手の健康を損なった場合…
故意や不注意で相手にケガをさせた - まわりに迷惑や不利益を与えた場合…
経済的な損失を与えた、行動の邪魔をした、時間と労力を無駄にさせた - 社会のマナーに反した場合…
公共の場で騒いでしまった、飲み物をこぼしてしまった - 自分がミスをしてしまった場合…
グループ行動で一人だけ遅れてしまった、頼まれたことができなかった
相手に与えてしまった被害の大きさや状況によって、どの程度の謝罪が必要かは変わってきます。
ですが、自閉スペクトラム症の子どもはその微妙な加減を理解できません。
一般的に考えると、上記の1〜4の場面では、1や2の場合に特にしっかりと謝罪する必要があります。
そのため、子どもにも1、2から優先的に理解させていきましょう。
2. 謝ることの必要性を理解させるには? パターン化と練習で対策
障害のない人は、その場の状況や相手の反応に合わせて謝罪の仕方を変えることができます。
しかし、自閉スペクトラム症の人は、場の空気や相手の気持ちを汲み取ることを苦手としており上手に謝罪ができません。
そのため、「こういう時は謝罪が必要」という風にパターン化させて覚えさせることが必要です。
①どんなときに謝るべきかを理解させる
「ごめんなさい」と言うべき場面をイラストなどを見せて教える。
子どもがイメージできる状況を例示し、そのときの相手の気持ちも交えて、なんと謝ればいいかを教えていきます。
例えば、以下のような場合です。
- 友だちにケガをさせてしまった
- 友だちが嫌がることを言ってしまった
- 友だちとぶつかってしまった
②ロールプレイングで練習する
同じ謝るという行為でも、目も合わせずにボソッと「ごめん…」と言うのと、きちんと相手の目を見て「ごめんなさい」と言うのとでは、伝わり方が違います。
実際に起こりうる場面を再現し、相手が泣いているとき、怒っているときなど、どういう態度でどのくらいの謝罪をすればいいのかを考えて謝ることを練習させましょう。
謝ることができなければ、友だちと付き合っていくことが難しくなってしまいます。
そうすると、学校で孤立しまうなど子ども自身が辛い思いをすることにつながってしまいます。
それを避けるために、出来るだけ早い段階から、謝罪の必要性や状況に応じた謝り方を教えていくようにしましょう。
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