何か情報を覚えるとき、情報と情報を関連付けながら覚えなければならないことがよくあります。
次から次へと新しいことを学ばなければならない子どもたちには、情報を整理しながら覚える力が必要です。
そこで今回は、新しいことを学ぶのに苦労している子どもたちに効果的な「グラフィックオーガナイザー」という方法をご紹介します。
目次
1. 認知処理様式による傾向の違い
人が外から情報を得て、脳で処理するプロセスを「認知処理様式」といいます。
認知処理様式には「同時処理」と「継次処理」があり、一般的にはその両方を状況によって使い分けながら情報を処理していきます。
通常、同時処理と継次処理はバランスよく発達していきますが、発達障害の子どもなどはアンバランスになることも多く、情報処理が困難になることもあります。
同時処理と継次処理の特徴を整理してみましょう。
【同時処理が得意(継次処理が苦手)】
- 複数の情報を全体的に覚えていく同時処理が得意
- 全体から部分を理解していく
- 視覚的、運動的手がかりを重視する
【継次処理が得意(同時処理が苦手)】
- 情報を1つずつ、時系列に沿って覚えていく継次処理が得意
- 部分から全体を理解していく
- 聴覚的、言語的手がかりを重視する
どちらが得意で、どちらが苦手なのかを知ったうえで学習をサポートすれば、効率よく知識を積み上げていくことができます。
2. 記憶を助ける「グラフィックオーガナイザー」とは?
「グラフィックオーガナイザー」は、情報を視覚的に表した図で、情報と情報がどのように関連しているかがわかりやすくまとめたものです。
視覚的に、各情報の関連性を理解することができるので、子どもが知っている情報と知らない情報を体系的に学ぶことができます。
「グラフィックオーガナイザー」は、同時処理と継次処理が偏っている子どもにおすすめです。
視覚的に捉えられるので同時処理が得意な子どもに適していますし、情報を組織化することができるので、同時処理が苦手な子どもにもわかりやすいでしょう。
2-1 「グラフィックオーガナイザー」の作り方
「グラフィックオーガナイザー」を作る際、子ども一人で作るのは難しいので、保護者がサポートして一緒に作りましょう。
- まずはどんなテーマで作るかを決めます(子どもが興味を持っていながら、うまく整理できていない情報/学習に必要な情報 など)
- 情報を図式化する
- できた図を見ながら、子どもと一緒に話をして、つながりが理解できているか確認する。
今回は、「クジラ」、「アザラシ」、「カエル」、「マグロ」といった、こどもが既に知っている生き物を挙げ、それらがどのように生まれるのか、また、どうやって呼吸しているのかがわかるような図にしてみます。
既に知っている情報と知らなかった情報が関連付けられ、子どもの中で新たに知識が蓄積していきます。
2-2. 「グラフィックオーガナイザー」の別の例
下記のように、円や楕円を使ったベン図にしてもわかりやすいでしょう。
「グラフィックオーガナイザー」は、さまざまな学習に用いることができます。
先ほど挙げた例のように、客観的な知識を覚えるのに役立つほか、語彙を増やしたり、文章の読解に用いたりもできるでしょう。
また、子どもが自分で「グラフィックオーガナイザー」を作ることができるようになれば、学習の幅も大きく広がります。
参考:『DN-CASによる子どもの学習支援-PASS理論を指導に活かす49のアイデア』(日本文化科学社)
3. 継次処理と同時処理のどっちが得意?
どちらがどれぐらい得意で不得意かを図る検査サービスがあります。
学習教材「すらら」が2019年3月から検査サービスとして提供しているので、ご興味ある方は下記サイトを見てみてください。
■すららのK-ABCⅡ検査サービス
https://surala.jp/assessment/kabc2/lp/