「子どもが言うことを聞かない」「何を言っても伝わらない」という悩みは多くの保護者に共通するものです。
子どもとのコミュニケーションがうまくいっていないと感じているなら、コミュニケーションの方法から見直してみるべきなのかもしれません。
今回紹介するのは、ビジネスの場面でも用いられているコミュニケーション手法、「アサーティブコミュニケーション」です。
この「アサーティブコミュニケーション」は親子間のコミュニケーションにも活用できるものです。
「アサーティブコミュニケーション」とはどういうものか、詳しくみていきましょう。
目次
1. 「アサーティブコミュニケーション」ってなに?自分と相手どちらも「尊重する」コミュニケーション
「ゲームをやめてお風呂に入りなさい!」「宿題を早くやりなさい!」「自分の部屋は自分で片付けなさい!」など、子どもに対して声を荒げてしまっているという保護者も多いのではないでしょうか。
毎日そんなことを繰り返していたら疲れてしまいますよね。
これまでの親子のコミュニケーションを振り返り、自分が普段子どもにどんな言葉をかけているかを考えてみましょう。
1−1 「アサーティブコミュニケーション」=「自他尊重のコミュニケーション」
「アサーティブコミュニケーション」は「自他尊重のコミュニケーション」と呼ばれる、自分の気持ちや欲求をきちんと伝えつつ、相手の考えも尊重するコミュニケーション手法です。
「アサーティブコミュニケーション」の「アサーティブ(Assertive)」は、「断定的な、断言する」という意味の言葉です。
Assertiveは、Assertiveness(自己主張)の形容詞形でもあります。
つまり、「自己主張する」コミュニケーションというわけです。
1−2 コミュニケーションにおける「自己主張」の3分類
コミュニケーションを考える中で、「自己主張」は3種類に分類できるとされています。
それぞれの特徴を見ていきましょう。
(1)「アグレッシブコミュニケーション」<攻撃型>
自分の気持ちや欲求を主張するだけで、相手を尊重しないコミュニケーションです。
下記のような特徴がみられることが多いとされています。
- 相手を無視する
- 自分のことしか考えていない
- 攻撃的な表現を使う
- 自分の主張を曲げたくない気持ちが強い
(2)「ノンアサーティブコミュニケーション」<非主張型>
相手の気持ちを考える一方、自分の思っていることや主張を伝えられないコミュニケーションです。
特徴として挙げられるのは下記のようなものです。
-
<「ノンアサーティブコミュニケーション」の特徴>
- 相手のことを優先する
- 嫌だと言えない、断れない
- 自己主張が苦手
- 自分の気持ちを言わなくても、相手が察して理解してほしいと思う
(3)「アサーティブコミュニケーション」<自己主張と尊重の両立型>
アグレッシブとノンアサーティブの両方を兼ね備えたコミュニケーションです。
自分の気持ちや欲求をはっきり言うことができ、同時に相手の気持ちも尊重することができる状態です。
特徴として挙げられるのは下記のようなものです。
-
<「アサーティブコミュニケーション」の特徴>
- 自己主張がしっかりできる
- 相手の気持ちや意見を受け止めることができる
- 意見が違う場合も、話し合って最善策を見つけられる
2. 「アサーティブコミュニケーション」の方法は?子どもの気持ちを尊重しつつ親の意見を伝えよう
子どもに対してついつい声を荒げてしまうという人は、(1)の「アグレッシブコミュニケーション」をやってしまっているのではないでしょうか。
すべての会話を「アサーティブコミュニケーション」にするのは難しいかもしれませんが、気がついたときだけでも実践してみてください。
2−1 「アサーティブコミュニケーション」の具体例
「アサーティブコミュニケーション」を意識した会話とはどのようなものなのか、具体例をチェックしてみましょう。
- ゲームをやめる時間になってもやめないとき
「まだ遊んでいたいのはわかるけど、パパが帰ってきたらすぐごはんにしたいから、今お風呂に入ってくれるとうれしいな」 - 公共の場で騒いでいるとき
「楽しい気持ちはわかるけど、あなたが大きな声を出すと他の人が楽しめなくなっちゃうよ。それはママも悲しいから、今は静かに座っていてくれるかな」
ポイントは、はじめに子どもの気持ちを尊重すること、次にその場のシチュエーションを理解させること、最後に自分の気持ちを伝えることです。
親が子どもの思いをくみ取りつつ、順序立てて説明することで、伝えたいことを子どもの心に届けやすくなります。
前述の通り、「アサーティブコミュニケーション」はビジネスの現場でも使われている手法です。
「アサーティブコミュニケーション」の考え方は家庭内だけでなく、子どもが大人になっていくための様々な場面で重要になってくるものです。
親が「アサーティブコミュニケーション」を心がけて接していれば、子どもも友だちや学校の先生と接する際に、自分と相手両方を尊重したコミュニケーションができるようになっていくのではないでしょうか。
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